「家ではとても聞き分けがよくお利口なのに、園では手が出たり強い言葉を使ったりする」
そんなお子さんの姿に戸惑う保護者の方は少なくありません。
このように、家庭と園や学校などの外の場面で態度が大きく変わることを、俗に「外弁慶」と呼ぶことがあります。実はこの行動の背景には、子どもの心理発達や環境要因が深く関わっています。今回は保健師の視点から、その要因と対応について整理してみましょう。
「外弁慶」とは何か
外弁慶とは、家庭では従順で落ち着いている一方で、外では攻撃的な行動や問題行動が目立つ現象を指します。
一見「わがまま」や「しつけ不足」と受け止められがちですが、実際には子どもの内面にある不安やストレス、承認欲求が表れたサインであることも少なくありません。
子どもが外弁慶になる主な背景
家庭で十分に甘えられない
忙しさや厳しい雰囲気の中で「素の自分」を出しにくいと、子どもは安心を得られず、外で爆発してしまうことがあります。短時間でも目を合わせて話を聞くなど、甘えられる時間を意識的に作ることが大切です。
条件付きの愛情と感じている
「いい子でいないと嫌われる」「できない自分は認めてもらえない」と思うと、家庭が安心できる場所ではなくなります。子どもを成果や行動ではなく「存在そのもの」として肯定してあげることが、心の安定につながります。
過度に厳しいしつけ
子どもにとって必要以上の厳しさは委縮やストレスを招きます。幼児期であれば、
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- 社会的に許されないこと
- 危険なこと(自分や他人を傷つける行為)
- 倫理に反すること
この3点を中心に伝えるだけで十分です。その他のことは「経験の中で学んでいく」と考える視点も必要です。
外弁慶への対応の基本
外弁慶の行動そのものをすぐにやめさせることは難しい場合があります。大切なのは「その行動の裏にある気持ち」を理解しようとすることです。
- 子どもの話を途中で遮らずに聴く
- 「あなたは大切な存在だよ」と言葉や態度で伝える
- 家庭を安心して戻れる居場所にする
こうした積み重ねが、子どもの心の安定につながり、結果として外での振る舞いも落ち着いていきます。
まとめ
外弁慶は「わがまま」や「性格の問題」ではなく、子どもの心のサインであることが多いものです。
親子ともに無理をせず、安心できる関係を積み重ねていくことで、次第に落ち着いていきます。
子育ての中で不安や疑問を感じたときには、どうぞ一人で抱え込まず、地域の保健師や子育て支援窓口にも相談してくださいね。