子どもには「幸せな人生を送ってほしい」と願うのは、すべての親に共通する思いでしょう。
では、その「幸せ」はどこから生まれるのでしょうか。
実は、子どもの幸福感は親の幸福感と深く結びついています。
ベネッセ教育総合研究所と東京大学が行った共同研究によると、「自分は幸せだ」と感じている子どもの親の多くが、自分自身の幸福感も高い という結果が得られています。
つまり「親が幸せであること」が、子どもの幸福度を左右する大きな要因なのです。
一方、ユニセフの2020年調査では、日本の子どもの精神的幸福度は38カ国中37位。先進国の中で最低レベルに位置しています。
その対極にあるのがオランダ。精神的幸福度ランキングで1位を獲得し、さらに世界的調査会社イプソスによる「幸福感調査（2024年）」でも1位に輝いています。
では、なぜオランダの子どもたちは幸せを実感できているのでしょうか？
ここからは、オランダの子育てに学ぶ「子どもの幸福度を高める5つの実践法」をご紹介します。
1. 子どもの意思決定を尊重する
オランダの教育現場や家庭では、子どもに「自分の意見を持ち、自分で決める」機会が多く与えられます。
例えば家庭でも、日常的に「あなたはどうしたい？」と問いかけ、親は必要以上に介入しません。
ユニセフの報告によると、自己決定の経験を積むことは自尊感情や自己効力感を高め、精神的幸福度の向上につながることが分かっています。
小さな選択の積み重ねが、子どもの主体性を育てるのです。
2. ワークライフバランスを整え、家族との時間を優先する
オランダは「働き方の柔軟性」に優れた国としても知られています。
OECDの統計では、オランダの就業者の約40％がパートタイムで働いており、特に子育て世代の利用率が高いとされています。
「パパの日」という習慣が象徴的で、週に一度は父親が仕事を休み、子どもと過ごす時間を確保します。
研究でも、親子で過ごす時間の長さや質が子どもの幸福感を高めることが報告されています。
3. 多様性を受け入れる社会的雰囲気
オランダは2001年に世界で初めて同性婚を合法化した国であり、性的マイノリティに関する権利保障が進んでいます。
また、宗教や食習慣などの違いも広く受け入れられています。
ユネスコの教育指針では、多様性を認める文化は子どもの心理的安心感を高め、自己肯定感の形成に寄与すると示されています。
家庭内でも「違いを否定せず、尊重する姿勢」を親が持つことが、子どもに大きな影響を与えます。
4. 食事はシンプルにし、そのぶん親子時間に投資する
日本では「毎日の献立に悩む」ことが親のストレスになりがちです。
一方オランダでは、家庭料理は比較的シンプルで、料理に時間をかけすぎない傾向があります。
厚生労働省の調査でも、親の精神的ストレスが高いと、子どもの情緒や行動に影響を及ぼすことが報告されています。
「料理に完璧を求めるより、その時間を親子で過ごす」ことが、結果として子どもの幸福感を支えるのです。
5. 親自身のメンタルケアを大切にする
「親も一人の人間」という意識を持ち、自分の時間を確保することはとても重要です。
趣味や友人との交流など、親がリフレッシュすることで、子育てへの余裕が生まれます。
心理学には「シャンパンタワーの法則」という考え方があります。
一番上のグラス（＝親）が満たされていなければ、下のグラス（＝子ども）を満たすことはできないというものです。
これはポジティブ心理学でも裏づけられており、親のウェルビーイングが子どもの幸福に直結すると考えられています。
まとめ
オランダの子育てに共通しているのは、**「大人と子どもが一緒に幸せになる仕組み」**を社会全体で支えている点です。
もちろん国の制度や文化の違いはありますが、家庭レベルで取り入れられる工夫も多くあります。
- 子どもの選択を尊重する
- 家族の時間を優先する
- 多様性を認める
- 家事の負担を軽くする
- 親自身も幸せでいる
小さな一歩の積み重ねが、子どもの「生きる力」と「幸せを感じる心」を育てます。
ぜひ今日からできることを意識してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
